第10章 賢者の犠牲

夜は静まり返り、召喚学部の星象観測室の奥深く。

古い書庫の中は蝋燭の火が揺らめき、羊皮紙の巻物や古書が山のように積み上げられている。

セレスは山積みの書類に没頭しており、その目は血走っているものの、なおも集中して古書をめくっていた。

三日三晩にわたる調査の末、彼はついに決定的な手がかりを見つけ出した。

「転生の禁術……純潔の身体を器とし……」

セレスは古書に記された一文を、震える声で読み上げた。

「覚醒には特定の法具による導きを要す……三日月の首飾りだとッ!?」

彼は勢いよく顔を上げた。脳裏に浮かぶのは、明智冬音の首にかかっていたあの神秘的な三日月の首飾りだ!

「...

ログインして続きを読む