第14章 新しい夜明け

血の匂いは、まだ消えずにいた。

明智秋子は廃墟の中央に跪き、明智冬音の冷たい亡骸を固く抱きしめていた。涙はとうに枯れ果てている。

「秋子……」

レナードが静かに歩み寄り、あまりにも多くの苦痛を背負った彼女を抱きしめようと手を伸ばした。

「私に触らないで!」

秋子は彼を激しく突き放した。その瞳には絶望的な狂気が宿っている。

「私は人殺しよ! 自分の妹を殺したの!」

レナードの手は宙で止まり、目の前で崩れ落ちていく女性を、胸が張り裂けるような思いで見つめた。

「秋子、君のせいじゃない。君はもう、できる限りのことをしたんだ……」

「できる限り?」

秋子は自嘲気味に笑...

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