第7章

恵美視点

「恵美」お父さんの声は、白々しいことこの上ない。「会いたいよ。南町に帰ってこい。話がある」

「会いたい? いつから?」

「いつからだって、ずっとだ。お前は私の娘だろう」声のトーンが真剣なものに変わる。「お前に話しておきたいビジネスの話がある」

「どんな話?」

「直接会って話すべき種類のものだ。明日、こちらに来られるか?」

前回はすぐに頷いた。でも、今回は違う。

「まず三十億円、いただくわ」

沈黙。

「それは大金だな、恵美」

「それが私の価値でしょ?」私は陸の方を見る。「私に帰ってきてほしいなら、それが言い値よ」

「分かった。明日の朝まで...

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