第102章

絵里奈はよろめきながら病室を飛び出した。歩を進めるたび、腹部の傷がずきりと疼き、視界が真っ暗に落ちそうになる。

それでも、立ち止まれなかった。

母が「あんな汚い腎臓」のせいで自分を傷つけるかもしれない――そう思うだけで、身体の芯から震えが来る。

VIP病室の扉は開け放たれていた。

中の惨状は、真琴が言っていた以上だった。

知代はベッドの上に座り、髪は乱れ、両手は拘束帯で柵に縛られている。それでもなお、獣みたいに暴れていた。

――そんなに、私が憎いの?

「放して! あんなクズのもの、持っていけ!」

「いらない! 気持ち悪い! 死なせて!」

絵里奈はドア枠に手をつき、狂乱する母...

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