第108章

手術室の中。

心電図モニターの電子音が、だんだん遅く、だんだん弱くなっていく。

執刀医の額には冷や汗が滲んでいた。

「血圧がまだ下がってる! 心拍30! 除細動器、用意!」

「チャージ200ジュール! 離れて!」

バンッ!

電流が身体を貫き、絵里奈の身体が手術台の上でびくんと跳ね、次の瞬間、重く落ちた。――反応はない。

心電図は、なおも一直線。

絵里奈の意識は、ただ沈んでいく感覚だけがあった。

暗い。冷たい。底がない。

これが、死ぬってこと?

……楽だ。

もう痛くない。

もう真琴に壊されなくていい。

もう母に「気持ち悪い」と罵られなくていい。

もう、焼け落ちた庭...

ログインして続きを読む