第111章

集中治療室エリアの廊下。

真琴は、ここで丸三日――三日三晩、動かなかった。

ICUの扉が開いた瞬間、ようやく身体が反応する。弾かれたように立ち上がり――急な動きと、長時間の空腹が重なって視界がぐらりと暗転した。膝が折れかけ、壁に手をつく。

主治医がマスクを外す。顔にははっきりと疲労が刻まれているのに、表情だけはどこか緩んでいた。

「狩野さん、おめでとうございます」

医師は大きく息を吐く。

「意識が戻りました。バイタルはまだ弱いですが、安定しています。……乗り越えましたよ」

乗り越えた。

よかった――。

真琴の胸から、張り詰めていたものが抜け落ちる。

死んでいない。

あの...

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