第115章

廊下の突き当たりの化粧室。

瑠璃は洗面台の前に立つなり、さっきまでの楚々とした表情を一瞬で捨てた。

蛇口をひねる。ざあざあと水が流れ落ちる。

汚いものに触れたわけでもないのに、さっき病室で見た絵里奈の死んだような顔が、どうにも縁起でもなくてたまらなかった。

鏡の中の、完璧に整えられた自分の顔を見つめる。瑠璃の口元が、侮蔑の弧を描く。

「前は私を睨み返す度胸があったのに。今じゃ口も利けないんだ。生きてるだけで空気の無駄」

こめかみの後れ毛をゆっくり整え、目に毒々しい愉悦を滲ませる。

「でも、これでいい。泥みたいに腐っていくのを眺めるほうが、殺すよりずっと面白い」

あのネックレス...

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