第116章

二階の主寝室。かつて佳奈と彼の新居だった場所。

真琴はドアを蹴り開け、ベッドの脇まで歩み寄る。抱えていた身体を放り投げようとした、その瞬間――

腕の中の人が、ぴくりと動いた。

絵里奈がはっと目を見開き、反射的に身を縮める。

抱いている相手が真琴だとわかった途端、顔色がさらに抜けた。

「……どうして、あなたが……」

「……ごめんなさい」

降りようとしても、脚に力が入らない。もつれた身体が、ふわりと柔らかなマットレスへ崩れ落ちた。

「わ、私……寝ちゃって……」

慌てて起き上がり、ベッド脇の杖に手を伸ばす。だが指先は空を掴むだけだった。

「ご飯、冷めてるよね。温め直してくる」

...

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