第117章

車は、焼け焦げて真っ黒になった鉄門の前で止まった。

絵里奈は料金を支払い、杖をついて降りる。

風が強い。地面の黒い灰を巻き上げ、鼻を刺す焦げ臭さが、まだ空気の奥にこびりついていた。

二週間も経ったというのに、ここは――いまだ悪夢のままだ。

かつて白バラが咲き誇っていた庭園は、禿げた焦土に変わり果てている。

彼女の幼い日々を丸ごと乗せていた木のブランコは、ちぎれた鉄鎖が二本、宙にぶら下がっているだけだった。

「おじいちゃん……」

一歩踏み出した瞬間、杖先がふかふかの灰に沈んだ。

脚の中のボルトがじくりと疼く。けれど、そんな痛みはどうでもよかった。胸の奥が、もっと痛い。息ができな...

ログインして続きを読む