第124章

翌朝、ようやく豪雨が止んだ。

カーテンの隙間から射し込む陽が、薄く濡れた室内を撫でる。空気には土と青草の匂いが混じっていた。

智哉が温かいミルクとトーストを載せたトレイを持ってダイニングへ入ると、絵里奈はもう席についていた。

清潔な服に着替え、髪もきちんと整えている。あの杖は、テーブルの脇に静かに立てかけられていた。

智哉の姿を見つけると、絵里奈は顔を上げ、柔らかく微笑む。

「おはよう、智哉」

声は落ち着いていて、どこか申し訳なさまで滲んでいた。

「昨夜は雨がひどくて……休みを邪魔しちゃったよね。ごめんなさい」

智哉の手が、空中で固まった。

絵里奈の顔を凝視する。ほんのわず...

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