第127章

午後二時、森本メンタルクリニック。

診察室で森本裕太はソファに腰を下ろし、万年筆を指先で転がしながら、冷静で鋭い視線を絵里奈に向けていた。

向かいの椅子に座る絵里奈は、両手で膝を強く掴み、背筋を固めたまま動かない。

「その傷、どうした」

裕太が顎で示したのは、手首に重なる新旧の痕と、首筋にうっすら残る掻き傷だった。

「……受けるべきものです」

その答えに、裕太の万年筆が止まる。

「言うことを聞かなかったから。真琴を怒らせたから。お姉ちゃんの願いを叶えられなかったから。だから……当然です」

言いながら、絵里奈の指が無意識に手の甲を掻きむしる。

痛い……。

けれど、その痛みだ...

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