第128章

「……あいつが忘れてるからだ」

裕太は窓辺へ歩み寄ると、乱暴にカーテンを引き開けた。

「誰かに深層催眠をかけられてる。手口がやけに手慣れてる上に、あの記憶だけを完全に封じ込めてる」

「……なんで封じる必要があるんだ?」智哉が眉をひそめる。

「生かすためだ」

裕太は振り返り、眠ったままの絵里奈を見た。

「忘れさせなきゃ、子どもの絵里奈は罪悪感で自殺してた。佳奈が誘拐犯を引きつけた。結果的に助かったとしても、その数時間に何があったかは佳奈にしかわからない」

「さっき絵里奈が……『血がいっぱい』って」

「つまり、佳奈は絵里奈を守るために、想像もできない代償を払ったってことだ」

智...

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