第130章

どれほど時間が経ったのか。絵里奈は、ぬくもりの中で目を覚ました。身体には分厚いウールの毛布がかけられている。

誰かに抱かれていた。

柔らかくて、いい匂いがして、胸の奥までほどけていくような安心の気配。

「……怖くない」

女の声が耳元で弾んだ。誇らしく、鮮やかで、生命力に満ちた声。

美雪だ。

来てくれた。

「美雪……」

絵里奈はその胸にしがみついた。ひどく傷ついた子どもみたいに。

「痛い……もう、生きたくない……」

「しー」

美雪は優しく髪を撫でる。瞳いっぱいの痛ましさで、絵里奈を見つめた。

「バカなこと言わない。絵里奈は何も悪くない」

「悪いのはあいつ。悪いのは、あ...

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