第140章

次の二十四時間、狩野邸は息が詰まるような空気に覆われた。

絵里奈は恐怖の底まで沈み、リビングから一歩も出られない。階段を上り下りする足音がするだけで、身体が勝手にがくがくと震えた。

何度も何度も、真琴のズボンの裾に縋りつこうとした。たとえ返ってくるのが嫌悪の視線ひとつでもいい。あの恐ろしい命令を撤回してほしくて、地べたに額を擦りつけるように懇願した。

もう、誰かが自分のせいで傷つくのは嫌だった。

けれど真琴は、絵里奈を空気のように扱った。

そして翌日の夕暮れ。外は豪雨。ようやく書斎の扉が開いた。

絵里奈は、すでに感覚のない傷脚を引きずるようにして飛び込む。

書斎は薄暗い。重いカ...

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