第143章

書斎の中。絵里奈は扉のそばで身を縮め、張り詰めたまま絶望に沈んでいた。

息を吸うたび、腫れ上がった喉がひりつく。アレルギーの息苦しさは引くどころか、恐怖に煽られてさらに強まっていく。

カチャリ。

鍵が小さく鳴った。

絵里奈の心臓が跳ね、はっと顔を上げる。

真琴が扉を押し開けて入ってきた。まとわりつくような血の匂い。

智哉の血だ。

そう思った瞬間、絵里奈の恐怖は理性を押し流した。

「……あの人……どうなったの……?」

絵里奈は這うように近づき、真琴のズボンの裾に縋りつこうとして――革靴に触れかけたところで、びくりと手を引っ込めた。

だめ。

こんなふうに取り乱したら、真琴が...

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