第145章

朝。絵里奈が目を覚ますと、身体の上に毛布が一枚、そっと掛けられていた。

一瞬だけ固まって、反射的に小野彰か、あるいは家政婦が持ってきたのだろうと思う。

彼女は画稿を丁寧に巻き、胸に抱えた。

ダイニングでは真琴が上座に座り、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。

濃いグレーのシャツ。襟元のボタンは一番上まで留められ、禁欲的で、冷たい。

絵里奈が入っても、真琴はまぶたすら上げない。

「座れ」

絵里奈は向かいの席に腰を下ろす。動きはぎこちない。

皿の上にはトーストが一枚。ブルーベリーパイはない。

ナイフとフォークを取り、言われるままに数口運ぶ。けれど、喉が受けつけない。飲み込めな...

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