第146章

裏庭の墓石は、磨き上げられて白く光っていた。

絵里奈は祖父母の墓前に膝をつき、摘んできたばかりのアイリスを一本ずつ整えて供える。

その隣で、恵莉も同じように跪いたまま、ここ数年の出来事をぽつりぽつりと語り始めた。

街角のパン屋の店長が代わったこと。節約のために一日一食で耐えていたこと。合格通知を受け取った日に、嬉しくて大泣きしたこと。

少女の声は澄んでいて、やけに生き生きとしていた。湿った午後に吹き込む、一本の風みたいに。

真琴は少し離れた木にもたれ、煙草をくゆらせていた。半分まで燃えた灰が、足元にぽとりと落ちる。

視界の中で、絵里奈は首を傾け、恵莉の話に耳を傾けている。

遮ら...

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