第17章
絵里奈は看護師の制止も振り切り、中島医師が処方した薬も受け取らないまま、弱り切った身体を引きずって病院を出た。
N市の夜風は冷たい。薄いシャツの隙間から容赦なく侵入し、皮膚の奥まで凍らせる。傷口のガーゼはとうに血で滲み、布地と貼りついてしまっていた。歩くたび、剥がれかけた肉が引きちぎられるみたいに痛む。
痛い。けれど、止まれない。
屋敷へ帰らなきゃ。
妻として、真琴の明日の服をまだ用意していない。寝室だって掃除していない。
それはお姉ちゃんの願いだった。必ず叶えると約束した。なら、これくらいの痛みは受けるべきだ。
薄暗い街灯の下、ナンバープレートのないミニバンが、絵里奈の横でキキ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
