第20章

真琴はそこに立っていた。ずぶ濡れのまま、乱れた髪が額に張りつき、慌てて羽織ったコートには泥と草切れがこびりついている。見るも無惨な有様だった。

彼は、あの忌まわしい島から戻ったばかりだった。

夜を徹した捜索と、底の見えない恐怖。ほとんど呑み込まれかけていた。

絵里奈が病院に運ばれたと知った瞬間、汚れた服を着替える暇すらなかった。ただ我を失ったように、ここまで駆けつけてきたのだ。

充血した真琴の目が、賢治の指先――絵里奈の唇のそばで止まっていたその手を、じっと睨み据える。

その瞬間、病室の空気が凍りついた。

絵里奈はその顔を認めた途端、枕にもたれていた背筋をびくりと強張らせた。瞳孔...

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