第23章

スマホがひっきりなしに震え、画面には「賢治」の名前が明滅していた。

絵里奈があのオークション会場を出てから、これで今日だけでも十二回目の着信だ。

薄暗いリビングで、絵里奈はソファに沈んでいた。ギプスを外したばかりの右手はまだこわばっていて、だらりと脇に落ちている。

画面を見つめる。呼び出しが途切れ、光が消えるまで。

出られない。

出て、何を言う?

真琴に犬みたいにつなぎ止められて、そばで辱められたとでも言うのか。

大勢の男の前で、下劣な踊りを踊らされたとでも言うのか。

絵里奈はスマホを掴んだ。けれど文字を打つ勇気すらなく、指が勝手に電源ボタンを押しただけだった。

ぷつり。

...

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