第34章

「いや……真琴!」

絵里奈は絶望の叫びを上げ、携帯を奪おうと身を投げた。だがボディーガードに乱暴に突き飛ばされ、絨毯へ叩きつけられる。

「大人しくしろ!」

怒鳴り声が落ちた瞬間、絵里奈は床に座り込んだまま、頬から血の気がすっと引いた。

――終わった。

――もう、取り返しがつかない。

あと二時間。現場でカットのパラメータを確認できなければ、あの値の付けようもないピンクダイヤモンドは、通常工程どおりに切られてしまう。

一度刃が入れば、やり直しはない。

お姉ちゃんが下書きに描いた、あの光。

永遠に、灯らない。

真琴は執事から受け取った携帯を、絵里奈の目の前でウイスキーの入ったグ...

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