第37章

N市中央病院、最上階のVIP診療室。

狩野真琴は上半身裸のまま診療ベッドに腰かけていた。専属医の林田悠斗が聴診器を当て、逞しい胸の動きを確かめる。

ほどなくして、林田は血液検査の結果を前に眉間へ皺を寄せた。――真琴が少年期に白血病を患っていたことを踏まえた、定期的なフォローアップだ。

「数値はすべて、申し分ありません」

書類を置き、眼鏡を外す。

「狩野社長、骨髄移植は完璧に成功しています。これだけの年月、拒絶反応が一切ないのは稀です。当時の匿名ドナーの骨髄との適合率は……奇跡と言っていい」

真琴は落ち着いた所作でシャツのボタンを留めていく。長い指が、最後のひとつでふと止まった。

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