第39章

パァン!

十指の力を込めた平手が、がらんとしたリビングに乾いた音を反響させた。

絵里奈は殴られて顔が横に跳ね、耳の奥がじんじん鳴る。まだ消えていなかった指の痕に、あらたな腫れが重なった。

目の前に立つ冬月知代は、胸を激しく上下させている。手入れの行き届いた顔は、いまや怒りで醜く歪んでいた。

「お姉ちゃんを殺しただけじゃ飽き足りないの? 今度は瑠璃まで害する気?」

知代が荒々しく身を振るった拍子に、ローテーブルの淹れたてのアールグレイが倒れた。

ばしゃっ。

紅褐色の熱い液体が縁からあふれ、むき出しの絵里奈の脛へ一直線に流れ落ちる。

沸騰したての湯――ほとんど100℃。

柔らか...

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