第43章

バンッ!

病室のドアが勢いよく蹴破られ、静まり返った深夜に雷鳴めいた轟音が炸裂した。

絵里奈はびくりと肩を震わせ、手にしていた保温容器がぐらりと傾く。熱いかぼちゃのスープが手の甲にこぼれ、皮膚が瞬く間に赤く染まった。それでも指はほどけない。プラスチックの桶を、壊れるほど強く抱え込む。

――これだけが、いまの自分に残されたもの。

狩野真琴が、ドア口に立っていた。胸は荒く上下し、目の奥の血走りが照明に照らされて不気味に浮かぶ。

さっきまで瑠璃の病室にいた。痛みに耐えきれず小さくすすり泣く瑠璃を見て、腹の底に溜まった火の行き場がなくなっていた。

そして扉を開けた瞬間、ここにいた。

こ...

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