第45章

どれほど時間が経ったのか、扉の鍵がふいに小さく鳴った。

カチャリ。

扉が開く。

絵里奈は、まるで希望そのものを見たかのように、はっと顔を上げた。

入ってきたのは真琴ではない。小野彰だった。

いつも真琴の傍に控えているその秘書は、床に転がる血まみれでみすぼらしい女を見下ろし、瞳の奥にほんのわずかな痛みを走らせた。

「冬月正明さんは、ひとまず峠は越えました」

小野彰が低い声で言う。

「ただ、失血が大きい。……それと脚の骨折。しばらく安静が必要です」

その言葉を聞いた瞬間、絵里奈の胸の奥に張りつめていた糸が、ふっと緩んだ。

力が抜け、身体が崩れ落ちる。肺が焼けるみたいに、ひゅっ...

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