第46章

今の絵里奈は全身傷だらけで、それでも――死人みたいに、何も言わない術だけは覚えてしまった。

「私が悪いの」

絵里奈は父の冷えた掌に頬を押し当て、そのわずかな温もりを貪るように吸い込む。

「家の恥さらしです……私、あなたの娘でいる資格なんてありません」

「わかってるなら……」

冬月正明は苦しげに手を引こうとした。けれど突き放しはしない。ぎこちなく、乱れた頭を――ぽん、ぽん、と二度だけ撫でる。

絵里奈とこうして触れ合うのは、もうずいぶん久しぶりだった。

「わかってるなら、死人みたいに生きるな」

冬月正明は目を閉じた。声音にはいつもの厳しさが戻る。それでも、疲れの奥に隠しきれない気...

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