第48章

ツー、と短い電子音がして、通話は切れた。

小野彰は暗転した画面を見つめ、苛立ちに頭をかきむしる。

そして病室のドアを押し開けた。

絵里奈はベッドサイドの棚にうつ伏せになり、インクのほとんど残っていないボールペンを握っていた。薬箱からちぎった厚紙の切れ端に、何かを描いている。

ドアの開く音がしても、以前のように怯えて身をすくめることはない。顔すら上げなかった。

描いているのは、椀に入った汁物。

上手いとは言いがたい。線はふらつき、形も歪む。長い飢えで手が震えているせいだ。

それでも――それが、彼女に残された一日の唯一の「すること」だった。

完全に禁足されてから、小野彰は、そのさ...

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