第52章

瑠璃はデスクの前へ歩み寄ると、引き出しを開け、精巧なベルベットの小箱を取り出した。

身を翻し、所作だけは優雅に蓋を開ける。中に収まっていたのは、奇妙な造形のブローチだった。

鋭い短剣を模したそれは、先端に暗紅色の宝石が嵌められている。灯りを受けて、ぞっとするような艶をきらりと返した。

「これ、わかる?」

瑠璃はブローチをつまみ上げ、指先で弄ぶ。

「わざわざ職人に作らせたの。このルビーの色……あの日、佳奈が流した血に似てない?」

絵里奈は、その赤から目を離せなかった。呼吸が浅くなり、胸の奥がひゅうっと冷える。

――お姉ちゃんの、血。

あの日。お姉ちゃんは自分を庇って、胸に刃を受...

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