第58章

一週間後の午後。陽射しが、やけに刺さる。

介護士が車椅子を押し、絵里奈を病院の中庭へ連れてきた。

「日光浴しときなさい。回復にいいんだから」

がっしりした体格の中年女は、言葉の端々に「聞き分けのない患者」をあしらう雑さを滲ませる。

「狩野さんから言われてんのよ。さっさと良くなって。いつまでも死人みたいなツラしてないで」

絵里奈は車椅子に座ったまま、膝に重い羊毛のブランケットをかけていた。ギプスで固めた脚は、その下に隠れている。

何も言わない。

いまの自分は、動けない役立たずで――真琴に鎖で繋がれた犬だ。

死なない限り、従え。

陽射しが血の気のない頬に落ちても、温もりはない。...

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