第61章

真琴所有の会員制クラブ。N市でも指折りの、奢りと欲望が集まる場所。

絵里奈は二人のボディーガードに両脇を抱えられ、裸足のまま絨毯を引きずられていた。

脚にはまだ包帯が巻かれ、だぶだぶの病衣の上に、サイズの合わない黒いスーツの上着だけを羽織っている。滑稽で、みじめで、目を背けたくなる姿だ。

脚のギプスは重い。引きずられるたび、折れた骨がずるりと引っ張られる。冷や汗がこめかみを伝い、目に流れ込んで焼けるように痛むのに――絵里奈は、声ひとつ漏らさなかった。

胸がかすかに上下していなければ、死体と見分けがつかないほどだ。

「着きました」

小野彰が扉を押し開ける。

個室は薄暗く、水晶のシ...

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