第63章

数分後、林田悠斗医師が鞄を提げて駆け込んできた。

「どけ!」

真琴は場所を譲り、ベッド脇に立つ。両手でベッドポストをきつく掴み、全身が小刻みに震えていた。

医師が絵里奈の衣服をハサミで切り開く。露わになった無数の痣と裂傷、そして再びずれてしまった骨折部位を見て、思わず息を呑んだ。

「無茶が過ぎる……!」悠斗は傷を処置しながら、低い声で吐き捨てる。「やっと繋いだ骨がまた折れてる。このままじゃ脚が使い物にならなくなるぞ。肋骨も……肺に刺さる寸前だ」

真琴は何も言わない。

ただ、ベッドの上の女を、凝視していた。

医師が創を洗い、壊死しかけた組織を削ぎ、ガーゼが一枚、また一枚と赤に染ま...

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