第64章

二日後。

狩野邸。

絵里奈は、割れるような頭痛とともに目を覚ました。鎮静剤の副作用だろう、胃の奥がむかつき、世界がぐるぐる回っているみたいだった。

まぶたを持ち上げる。

映ったのは、地下室の薄暗い天井ではない。眩しすぎるほど豪奢な水晶のシャンデリア。

――ここは……主寝室?

真琴が、決して自分を入れなかった場所。

絵里奈は勢いよく上体を起こし――次の瞬間、太腿を貫く痛みに息が詰まった。裂けた傷口が引き攣れ、喉の奥から冷たい空気が漏れる。

見下ろすと、脚には真新しい分厚いガーゼ。

両手首には、ぐるりと青紫の痣が残っていた。強く押さえつけられた痕。

記憶が、潮のように押し寄せ...

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