第69章

監視カメラの赤いランプが消えた瞬間、倉庫に充満していた息苦しい緊張は薄れるどころか、むしろ別の形で濃くなった。

ぞわり、と肌にまとわりつくような、不吉な静けさ。

「カチッ」

植田淳史が映像送信機を雑に切る。

さっきまで哀れなくらい泣きじゃくり、震えていた唐沢瑠璃の顔から、恐怖が一秒で消え失せた。

瑠璃は背筋を伸ばし、スカートの裾を嫌そうに払う。そこに埃などないのに。

そして、芝居のためにわざと乱した長い髪を指で梳き、滑らかに整えた。

「はあ……喉、潰れた」

瑠璃は淳史のそばへ寄る。隅で縛られたままの絵里奈には、視線すらくれない。

両腕を男の首に回し、甘えるように、けれど苛立...

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