第71章

狩野邸、主寝室。

浴室には湯気がこもっている。けれど、濃い血の匂いと薬の臭気までは隠しきれない。

真琴は全員を追い払った。

絵里奈を大きなバスタブに座らせる。湯は張らない。温めたタオルを手に、執念じみた動きで、少しずつ、少しずつ彼女の肌を拭っていく。

首筋から、鎖骨へ。胸元へ。

紫がかった痕が、血の気のない白い肌に毒々しく浮いていた。屈辱の刻印。ほかの男が残した痕跡。

腹の底が煮えくり返る。

「汚い」

真琴は歯を食いしばり、手の力が勝手に強くなる。

「汚すぎる……!」

消したい。淳史の匂いも、触れた痕も、全部――洗い落としてしまいたい。

絵里奈は意識がない。頭は浴槽の縁...

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