第74章

十分後。

「淳史を必ず見つけ出せ。でなければ――どうなるか、わかってるな」

真琴は小野彰を押しのけ、主寝室を飛び出した。背中にまとわりつく殺気が、空気ごと切り裂く。

屋敷の門から数台の車が唸りを上げて突進し、砂埃を巻き上げた。

車内。

外の視線が遮断された瞬間、真琴の顔に張りついていた暴怒と狂気が、嘘みたいに消えた。

代わりに浮かんだのは、背筋が凍るほどの冷えた無表情。

シートに深く身を預け、ポケットからハンカチを取り出す。さっき物を叩き壊したせいで指先についた埃と血を、ゆっくり、丁寧に拭い取った。

その落ち着きは、主寝室で荒れ狂っていた男と同一人物とは思えない。

まるで、...

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