第78章

病院で意識を失っていた数日間、悪夢は執拗に絵里奈へ絡みついていた。

粘つくほど濃い、ぬるい血が顔にぶちまけられる。続いて、刃が肉へ沈む音。

ぶすっ。

その音だけが異様に増幅され、鼓膜の内側で破裂したみたいに響く。

絵里奈は跳ね起きるように目を見開いた。喉の奥から、短く怯えた息が漏れる。身体がベッドの上でびくんと弾み――次の瞬間、左肩を貫く激痛に現実へ引きずり戻された。

「……ぁ……」

冷や汗が一気に背中を濡らす。

ここは揺れるデッキじゃない。潮風も、血の匂いもない。

中央病院の特別個室。空気には高級なアロマが漂い、吐き気を誘う消毒液の匂いが混じっている。

――まだ、死んでい...

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