第82章

――ゴォッ。

その言葉を聞いた瞬間、絵里奈は考えるより先に、頭の中が真っ白になった。

目を見開き、瞳孔がきゅっと縮む。いつもなら麻痺したみたいに冷え切っている顔に、はっきりとした大きな揺れが走った。

「……今、なんて?」

震える声で真琴を見据える。「誰と……結婚するって?」

「瑠璃だ」

真琴は残酷なほど淡々と、もう一度言い切った。彼女が苦しむのを見て、胸の奥に薄暗い復讐の快感が湧き上がる。

「瑠璃のほうが、お前よりずっときれいで、優しくて――狩野夫人の席にふさわしい」

「見ればわかるだろ。昨日のこと、お前も見た。俺は、責任を取る」

「責任? ……はは」

絵里奈が、ふっと笑...

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