第93章

カチャリ。

鍵が落ちた瞬間、絵里奈はもう立っていられなかった。便器の縁に縋りつき、激しく吐き出す。

「うっ――」

胃は空っぽで、出てくるのは酸っぱい胃液と胆汁だけ。

喉が焼けるように痛い。それでも、魂の底からせり上がってくる吐き気だけは、どうしても押し殺せなかった。

汚い。

自分が、内側から腐り落ちていくみたいだった。

真琴の怒りを鎮めるために、あんな残酷な言葉を吐いた。

娼婦みたいに彼の下で喘いで、しかも自分から迎え入れて――暴力にすら、合わせた。

絵里奈は冷え切ったタイルの上にへたり込み、震える手で蛇口をひねった。

ざああ、と水が流れる音が、押し殺した嗚咽をかき消して...

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