第98章

手術当日。

中央病院特別手術室エリアの廊下。

左手には、冬月正明、唐沢瑠璃、そして冬月家の親族たちが集まり、知代の乗ったストレッチャーを取り囲んでいた。

「お母さま、怖がらないで。外で待ってるから」

瑠璃は知代の手をぎゅっと握り、目尻を赤くしながら、いかにも孝行娘らしい顔を作る。

「神さまが守ってくださいます」

「いい子ね。あなたがいてくれたら、怖くないわ」

知代は弱々しいながらも、慈しむように微笑んだ。

そして廊下の反対側――知代の視界が届かない、影の奥。

絵里奈はだぶだぶの青白い縞の病衣を着せられ、ぽつんと一人でストレッチャーに横たわっていた。花もない。祝福もない。家族...

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