第5章

飛鳥視点

あの夜を境に、すべてが変わってしまった。

匠海は、私のくまのチャームであり、彼をコントロールするための唯一の『武器』を奪っていった。仕返しを覚悟していた――降格か、執拗な嫌がらせか、あるいはクビか。

だけど驚いたことに、彼は何もしてこなかった。

彼は相変わらず冷たい上司のままだった。ただ、二人きりの呼び出しや、わざとらしい敵意はなくなった。私たちは、何事もなかったかのように、丁寧だけどよそよそしい関係を保っていた。

でも、時々、彼が私を見つめている視線に気づくことがあった。その眼差しは複雑で――戸惑うようでもあり、何かを探るようでもあり、私には読み解けない感情が...

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