第100章 強がる必要はない

伊原綾音は高村さんの言葉を聞くと、ほんの少し間を置いた。小林梅子がわざわざ乗り込んできた理由も、すぐに察しがつく。綾音は高村さんを見て言った。

「すぐ行く」

高村さんはうなずき、綾音の部屋を出るとリビングへ戻って小林梅子を迎えた。

「高村さん、綾音のところにいらしたのね。みんな元気そうで何よりだわ」

小林梅子の言い方は、まるで「元気なのはあなたたちだけ」と言外に告げているみたいだった。

高村さんはわざと気づかないふりをし、淡々と返す。

「うちはうちで大変ですよ。綾音は散々で、手伝いに呼ばれただけです」

「綾音は……優しい子だものね」

小林梅子が視線を落として言った、そのとき。...

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