第119章 必ず代償を払わせる

澄川琉生と関係を持つ前、彼は欲の薄い清廉な男だとばかり思っていた。けれど肌を重ねてから知ったのは――その外面に、見事に騙されていたという事実だった。

伊原綾音は返事をせず、そのまま歩いて彼の横をすり抜けようとする。だが手首をがしっと掴まれ、仕方なく振り向いた先で、満たされない欲を滲ませた瞳とぶつかった。

「離して」

数秒の沈黙ののち、男は情けないほど低い声で尋ねた。

「……まだ答え、もらえない?」

綾音の中ではもう決まっている。けれど、少しだけ焦らしてやりたくて。

「考える」

琉生は舌先で歯の裏をなぞり、折れた。

「期限くれ。明日?」

綾音は答えず、逆に問う。

「そんなに...

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