第122章 とんでもないミス

北野隆也が賄賂で自分を黙らせようとしていることなど、伊原綾音は気にも留めていなかった。意識のすべては会議に向いている。会議が終わると、骨幹メンバーに同行して昼食へ。場所は会社のすぐ隣のレストランだった。

テーブルに着いてからの伊原綾音は、驚くほど口数が少ない。終始聞き役に徹していて、仕事中の歯切れのいい物言いとは少しギャップがあった。

それにいち早く気づいたのが、会社側の代表である野口征宇だ。目ざとく彼女を呼びかける。

「伊原さん。主任デザイナーなんだから、皆さんに一杯くらい付き合わないと」

伊原綾音は野口征宇を淡々と一瞥し、口元にだけ笑みを浮かべた。目は笑っていない。

「皆さまに...

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