第123章 一言も言わなかった

伊原綾音は話を聞き終えた瞬間、すべて察した。北野隆也と烏沙区側が手を組んで仕掛けてきた罠だ。

結局のところ、高村紗夜は自分に巻き込まれただけ。北野隆也は高村紗夜を利用して、伊原綾音に引かせようとしているのだ。ここまで来てもなお、こんな無駄な小細工を重ねるなんて――本当に懲りない。

伊原綾音は向き直り、高村紗夜を宥めるように言った。

「もう警察に通報したんだから、こっちでちゃんと調べてもらえる。偽物は本物にはなれないよ。いったん帰って、家でしっかり休んで。結果を待とう」

「でも……私のサイン入りの領収書があるんだよ? これ、ちゃんと説明できるのかな……」

高村紗夜は不安そうに伊原綾音...

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