第131章 埋もれた原石

伊原綾音は足を止め、振り返って成井正彦を見た。成井はさらに一言、付け足す。

「澄川社長が、仕事の件で話したいそうです」

その一言で、彼女の断り文句は封じられた。綾音は視線を横へ移し、福田黎に向き直る。

「先輩、じゃあ……先輩の車には乗らないでおきます。運転、気をつけてくださいね」

福田黎は相変わらずクールな顔のまま、手で電話の仕草を作った。

「じゃ、連絡は電話で」

言い終えると、成井正彦をちらりと見やる。その視線が何を意味するのか、人の機微を読むことに長けた成井には分かっていた。だが、何事もなかったように受け流し、丁寧に会釈を返した。

福田黎を見送ったあと、成井は「先に車でお待...

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