第139章 澄んだ目

「珍しいな。柳沢さんが女の子に連絡先を聞くなんて、初めて見たよ」

橘川社長がからかう。

柳沢さんと呼ばれた男は柳沢翼。柳沢グループの一人息子で、近くグループを継ぐと言われている。最近はどの席にも顔を出し、やたらと目にする存在だ。

そういう噂話を、さっき移動中に江見瑠璃が耳打ちしてきた。

この場で断れば空気が冷えるのは目に見えている。伊原綾音は微笑んで言った。

「LIMEですか?」

「俺から追加するよ」

柳沢翼が笑う。瞳がやけに澄んで、きらりと光った。

商売の世界で、あんなふうに濁りのない目を見かけることは滅多にない。綾音は一瞬だけ意識がふわりと浮き、テーブルの上のスマホに手を...

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