第14章 子どもを奪う

伊原綾音はデスクに戻ると、バッグをつかんで会社を出た。歩きながら、北野峰へ電話をかける。

「お父さん、杏はどこへ連れて行ったんですか」

「杏なら家にいる。お義母さんが会いたがってな、学校まで迎えに行った。おまえも帰ってこい。ちょうど話したいこともある」

電話口から聞こえてきた北野峰の声に、綾音は目を細めた。

子どもを餌にして、自分を家へ呼びつけるつもりか。

本当に、あの一家はどいつもこいつも同じ手口だ。

「今は手が離せません。そんなに杏に会いたいなら、今日はそちらで一日一緒にいてください。終業前に会社まで連れてきてもらえれば結構です」

綾音はのらりくらりとかわす。

「何があろ...

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