第140章 熱出してる

伊原綾音が仕事を終えて家に戻ると、二人の可愛い子はもう帰ってきていた。ここ最近、綾音は忙しくて、たいてい澄川琉生が寄越した執事に迎えを任せていたのだ。

リビングのソファに腰を下ろした途端、杏ちゃんがぱたぱたと駆け寄ってきて、ぴたりと彼女の横にくっつく。

「ママ、おかえり……」

やけにお利口な声。

娘の顔を見た瞬間、疲れがふっと薄まった。綾音は小さな身体を腕に抱き寄せ、ミルクの匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、低く返す。

「うん」

そこへ澄川奏斗もやってきた。のんびりと母娘のそばまで歩いてきて腰を下ろし、澄んだ大きな瞳でおずおずと尋ねる。

「綾音、ぼく……綾音の息子になってもいい...

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