第145章 返すよう求める

伊原綾音は出社するなり、息つく暇もなく仕事に追われた。午後には重要な会議がある。午前中のうちに会議用の資料を整え、必要なものは印刷しておこうと設定を済ませると、デザイン部の受け渡し室へ向かった。

ところが、プリンターは紙切れだった。

ちょうど通りかかった西村玲美が、プリンターの前で固まっている綾音を見つけ、ひょいと中へ入ってくる。

「朝からずっと紙ないんですよ。探しに行っても、誰も相手してくれなくて」

伊原綾音は眉を寄せた。デザイン部には今、はっきりとした取りまとめ役がいない。だから他部署に軽く見られている――そう察しがつく。

「こっちにリーダーがいれば、こんな扱いされないのに」

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