第148章 君の後ろにいる

伊原綾音は仕事を終えると、そのまま南園へ戻った。高村さんは彼女が一人で帰ってきたのを見るなり、背後をきょろきょろと探して尋ねる。

「杏ちゃんは?」

玄関で靴を脱ぎながら、綾音は答えた。

「この二日ほど家にいないの。澄川奏斗くんの家で、付き添ってる」

高村さんはうなずき、昨夜のことを思い出したように眉を寄せる。

「奏斗くん、もう大丈夫なの?」

「熱は下がったわ。ここ数日、ぶり返さなければ問題ないと思う」

ぱたぱたとスリッパを鳴らしながら上がり、綾音は念を押す。

「高村さん。もし杏ちゃんから電話が来ても、私が家にいるって言わないで。出張中って伝えて」

高村さんは数秒ぽかんとした...

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